夫婦同氏制を定める民法第750条の規定を合憲とした判決(最高裁判所平成27年12月16日)|離婚|法律事例/判例集

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2016/02/22
夫婦同氏制を定める民法第750条の規定を合憲とした判決(最高裁判所平成27年12月16日)
判例要旨
憲法13条について
→氏の変更を強制されない自由が憲法上の権利として保障される人格権の一内容であるとはいえない。
 婚姻前に築いた個人の信用、評価、名誉感情等を婚姻後も維持する利益等は、法制度のあり方を検討するにあたって考慮すべき人格的利益であるので、憲法24条の認める立法裁量の範囲を超えるものであるか否かの検討にあたって考慮する。
憲法14条1項について
→民法750条は文言条性別に基づく法的な差別的扱いを定めているわけでhなく、男女間の形式的な不平等が存在するわけではない。
 しかし、夫の氏を選択する夫婦が圧倒的手数を占めている現状から、社会に存する差別的な意識や慣習による影響があるのであれば、その影響を排除して夫婦間に実質的な平等が保たれるように計ることは、憲法14条1校の趣旨に沿うので、憲法24条の定める立法は資料の範囲を超えるものであるか否かの検討にあたって考慮する。
憲法24条1項について
→婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻をするかについては、当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるという趣旨を明らかにしたもの。夫婦同氏制は、婚姻することについての直接の制約を定めたものではないので、憲法24条1項の趣旨に沿わない制約を課したとは言えない。
しかし、ある法制度により婚姻をすることが事実上制約されることになっていることについては、立法裁量の範囲を超えるものであるか否かの検討にあたって考慮すべき
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憲法24条2項は、「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選択、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない」と規定している。
→憲法24条2項は、具体的な制度の構築を一時的には国会の合理的な立法裁量に委ねるとともに、同条1項も前提としつつ、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきであるとする要請、指針を示すことによって、その裁量の限界を画した。
そして,憲法24条が,本質的に様々な要素を検討して行われるべき立法作用に対してあえて立法上の要請,指針を明示していることからすると,その要請,指針は,単に,憲法上の権利として保障される人格権を不当に侵害するものでなく,かつ,両性の形式的な平等が保たれた内容の法律が制定されればそれで足りるというものではないのであって,憲法上直接保障された権利とまではいえない人格的利益をも尊重すべきこと,両性の実質的な平等が保たれるように図ること,婚姻制度の内容により婚姻をすることが事実上不当に制約されることのないように図ること等についても十分に配慮した法律の制定を求めるものであり,この点でも立法裁量に限定的な指針を与えるものといえる。
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氏は、家族の故障として意義があり、現行の民法においても、家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位と捉えられ、その呼称を一つに定めることには合理性が認められる。
夫婦となろうとする者はいずれの氏を称するについて、協議による自由な選択が可能
夫婦同氏制は、婚姻前の氏を通称として許されないというものではなく、婚姻前の氏を通称として使用することが社会的に広まっているので、夫婦同氏制の下における婚姻によって姓を改める者の不利益は、一定程度緩和されている。
したがって、夫婦同氏制が合理性を欠く制度であるとは認められない。
備考・判例は、選択的夫婦別氏制についての合理性を否定するものではないが、制度のあり方については、国会で論ぜられ判断されるべきとしている。
コメント最高裁判所の多数意見は、夫婦同氏制について、憲法13条、14条1項、24条1項そのものの問題ではないとしつつ、氏の変更を強制されない自由が憲法の利益ではない人格的利益であること、夫婦同氏制について社会的にみて事実上不平等が生じていること、婚姻をすることについて事実上の制約となっていることを認めた上で、規定が国会の裁量の範囲内であるかを検討している。裁量の範囲を一定程度に限定しつつ、その範囲をゆるく認めて判断を行っていると言える。
個人的にも、法的な解釈としては、民法750条を違憲であるとまでいうことは困難であるということには、同意せざるをえない。しかし、嫡出子であることを示すために子が両親双方と同氏であること仕組みを確保することにも一定の意義があるとか、同一の氏を称することにより家族という一つの集団を構成する一因であることを実感することに意義を見出す考え方も理解できる、この立場として、いずれの親とも等しく氏を同じくすることによる利益を享受しやすいなどとする、家族の呼称を一つに定めることの合理性を説明する多数意見の文言については、まったく価値観を共有できなかった。
当該最高裁判決により、選択的夫婦別姓については、今後はしばらく政治的な解決を模索せざるを得ない。
コメントのコメントhttp://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/546/085546_hanrei.pdf
名字を変えることの不便や感じることについては、実際に味わってみてもらいたいと思ってしまう。
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